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コットンの歴史と種類

静岡県のテーラー新屋のダイスケです

 

8月も残り2日となりましたが、まだまだ暑い日が続いています

テーラー新屋では、今夏、綿素材の生地を使用したジャケットを例年よりも多くご注文いただきました

 

 

そこで、今回は綿(コットン)の歴史と種類について書いてみようと思います

 

 

まずは歴史から

コットンは、考古学上の発見からすれば麻やウールよりも新しく、絹を含むいわゆる四大天然繊維中、絹より上の第三番目に位置づけられています

その起源には諸説がありますが、少なくともこれまでのところ、インドのインダス河畔で発見されたといわれている紀元前3000年頃の綿布をもって世界最古のものだとする説が、最も有力な紀元説とされているようです

 

インドで栽培・製織されだしたコットンは、やがてペルシャやアラビアなどに伝播し、下って紀元前4世紀頃、かのアレキサンダー大王の中近東侵略によって、綿の栽培地域はさらに方々へと広まっていきました

エジプトやギリシャ、ローマやエチオピア等に次々に輸入され、7世紀頃には中央アジアを経て中国へ、そして8世紀の末には日本へも伝来されるようになりました(日本で綿栽培が本格的に行われるようになったのは、それよりもずっと後の14世紀の末に至ってのことです)

 

綿織物が今日のように麻や絹に代わる主要被服素材となったのは18世紀後半の、イギリスに端を発した「産業革命」以降のことです

種々の紡績機、繰綿機の発明に伴い綿製品の大量生産、大量消費時代を迎えることとなり、以後19世紀から現在に至るまで、綿はウールと並ぶ2大天然繊維として在りつづけ、下着をはじめとする種々の被服材料に広く用いられるようになりました

 

 

中でも特に、西インド諸島(英領)の一つ、アングイラ島原産のシーアイランド・コットンは、古来最も有名かつ優良なものとして、広く認められています

「海島綿」と訳されるこのシーアイランド・コットンは、すべての綿繊維中最も長くて細くかつ光沢もあり、ふつう120番手くらいから、400番手くらいまでの糸に紡績ができます

米国フロリダ州やジョージア州、サウス・カロライナ州やテキサス州沖の群島並びに、西インド諸島で栽培される良質コットンを総称し、ワイシャツ地、ブロードクロスをはじめとする高級シャツ地用の原料としてなじみが深いです

 

ナンバリングの入った海島綿のジャケット生地

ナンバリングの入った海島綿のジャケット生地

 

シーアイランド・コットン以外の綿の種類も簡単にご紹介します

 

エジプト綿

ナイル河流域に産する優良な綿花で、通常150番手くらいの糸に紡績されるといわれています

高級カタン糸、シャツ地、ニット素材やレインコート地などにも使われています

 

アメリカ綿

シーアイランド綿以外の北米大陸に産するコットンの総称で、一般的には繊維はあまり長くなく、50番程度が多いようです…しかし中にはエジプト綿に勝るとも劣らない高級綿があり、その代表格に「スーピマ綿」と「ピマコットン」があります

「スーピマ(Supina)」は米国スーピマ協会の商標名で「ピマコットン(Pima Cotton)」は合衆国南西部に産するエジプト綿とアメリカ綿との異種交配によって作られたものを指します

アリゾナ州のPima Countryにちなんで名づけられたこの綿は、ブルックス・ブラザーズの釦ダウンシャツ、ピンポイント・オックスフォード地に使われる材料として知られています

 

インド綿

東インド産の綿で、繊維は短く光沢もありません

40番手以下が大半を占めています

 

南アメリカ綿

ペルーやブラジルなどに産する多年生のもので、主としてメリヤス肌着地や、ウール及び合繊との混紡用に使用されています

 

 

最後に語源を少し

Cottonの原語は中世英語のcotonから来たもので、その語源はアラビア語のqutunまたはqutnに由来するものとされています…というのもアラビア商人が綿をインドから諸外国へと持ち運んだためだそうです

 

 

静岡県のテーラー新屋は、高番手綿だけが良いのではなく、素材の雰囲気によっては番手の低い綿をあえて使用して仕立てるのも面白いなと思っています

 

 

 


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