静岡県のテーラー新屋のダイスケです
昨日公開の映画「キングスマン」早速観に行ってきました
仕立て屋が実はスパイ…という設定で、高級な店内、これでもかというくらいの英国調スーツ…ついつい仕事目線で観てしまいました
この映画の仕立て屋目線のレビューも書いてみたいですが、今回は、 今年もまだまだ流行りそうなツィードの種類について書いてみようと思います
ツィードはイギリスを代表する織物で、今日ではスコットランド及びアイルランドを主要産地とする紡毛織物全般を指しており、これには純正ホームスパンのみならず、毳(むくげ)を残留させた半縮絨仕上げのウール地も含まれてます
しかし元来は、手紡手織としは半幅ホームスパンのみを指し、これが狭義のツイードでした
ツィードの起源や来歴については別の機会にして、今回はツィードの主だった種類にフォーカスをおいて書いてみたいと思います
12.5 ツィードにつにて更に詳しく書いてみました→ブログ
ハリス・ツィード
スコットランド北西部の、アウター・ベブリディーズ群島北部に位置するハリス島産の純正ホームスパンのことを指します
原料にはブラック・フェースと呼ばれる羊毛が用いられ、それをざっくりとした感触の肉厚ツィードに仕上げます
とくにケンプと呼ばれる染色不能の白い短毛の混入がこの織物の特色をなし、その概観は野趣に富んでいます
いわゆる流行の素材としての登場は1875年からであり、用途は防寒コートやスポーツジャケットなどが挙げられます
ドニゴール・ツィード
アイリッシュ・ツィードの代表でアイルランド北部ドニゴール地方の農家で、手紡手織された野趣に富んだホームスパンのことを指します
原料はアイリッシュ羊毛で、それを太く紡ぎ、異なった色の経糸と緯糸をもって粗い平織りにするのですが、通常その緯糸には原色が用いられ、それが「カラーフレックス」と称する斑点効果となって現れます
用途は肉厚なものはスポーツジャケットやカジュアルな帽子、そして比較的肉が薄いものはスラックス用に使用されます
流行素材としての登場は1890年になってからです
チェヴィオット・ツィード
チェヴィオット羊毛使用の粗織のツィードで、平織、綾織、縦格子織などの種類がありますが、その極めつきはなんと言っても杉綾織です
いわゆるツィード仕上げ(半縮絨仕上げ)されたこのツィードは、外観はやや光沢に富み、組織もやや密で、手触りもハリスやドニゴールのそれに比べて柔らかいです
用途はコート、スーツ、ジャケット、ズボンなどが挙げられます
ちなみにチェヴィオットとは、スコットランド南部のチェヴィオット丘陵に産する羊毛の種類をいい、いわゆる「山岳種」の一種とされています
ファッションとしての登場は1880年代からです
シェットランド・ツィード
英国シェットランド島産の羊毛素材で、「らくだツィード」とも言います
シェットランド羊毛使用の手触りのやわらかいソフトなツィードで、表面には通常起毛仕上げが施されています
組織は綾織、平織、杉綾織等があり、中でもグレンプレードを配したものは古来最も有名です
流行素材としての登場は1892年からであり、主なる用途はジャケット、コート、スーツなどが挙げられます
なお安物のシェットランドにはメリノ羊毛が用いられているそうです
ダイアゴナル・ツィード
綾織ホームスパンの一種で、とくにチェヴィオット羊毛を用いた太い綾織ツィードを指します
当時流行したカッタウェイ・フロック(後のモーニングの原型)や、ラウンジコート(現在のジャケットの原型)などに多様されていました
現在では、コート、スポーツジャケット、スラックス等に用いられています
流行素材としての登場は1870年代になってから
その他、ツィードの種類には以下のようなものもあります
サキソニー・ツィード
コネマラ・ツィード
セルティック・ツィード
バノックバーン・ツィード
スコッチ・クラッシュ
スポーテックス
ホップサック・ツィード
シルク・ツィード
ロバート・チェヴィオット
カシミア・ツィード
ルイス・ツィード
フィアノート
ヒーザリー・ツィード
フェアアイル・ツィード
モヘア・ツィード
コットン・ツィード…etc
一口にツィードと言っても、上記のように様々な種類があります
ちなみに、私は先代が40年前に自分用に仕立てたハリスを、現在も現役で2代に渡って着用しています
静岡県のテーラー新屋は、ツィードはデニムパンツと同様、ある程度着こなれてて味がでたジャケットも素敵だなと思います