静岡県のテーラー新屋のダイスケです
約2か月、久々の更新になりますが、皆さまお元気でしょうか?
11月に入りめっきりと寒くなり、街ではだんだんとコート姿の方を多く見られるようになってきました
実は、仕立て屋にも業界紙というものがあります
内容は新柄生地のことだったり、トレンド、消費マーケット、テーラーリング技術などが掲載されています
そこで今回のテーマは、業界専門紙が紹介している2015年の秋冬のテーラードファッションをご紹介したいと思います
まず、今年の秋冬のキーワードは「Gentleman’s Wardrobe」です
トレンドは、上着丈はやや短めながらも、ここ数年のものすごくタイトなスーツとは違い、ウエストを絞りボティーラインを強調しつつもエレガンスなシルエットとなっています
また、パンツはスキニーというよりもテパードのシルエット、つまり太ももはゆったりだが、裾へ絞り込んだラインが特徴で裾丈は靴より上のところで収まっているのもが多く見受けられます
続いて、ローマのブランド街のウィンドウ・ディスプレーを見ると、全般的にカラフルでラグジュアリー、ゆったりとした着こなしが多く見られます
カジュアルなコートや上質なニットが目立ち、また、白を取り入れたコーディネイトや、スポーティーでタイトなシルエットのパンツ、足元はバックスキンやスニーカーなどを合わせています
参考になったでしょうか?
最近思ったことを少しだけ小声で書いてみます
本来のビスポークらしいスタイルというのは、変わらないスタイルで国会議員がお召になっているような上質で皺のない身体を包み込むスーツだと思います
しかし、巷では着丈の短くタイトなシルエットが流行っていますし、雑誌を見てもトレンドを意識したものしか掲載されていません…しかも女性に好まれるのもトレンドを取り入れたものです
そのような『お客様の身近に正統派のスーツのシルエットがない状態』で、仕立て屋が「正しいスーツの形はこうだっ!」と押し付けるのは、少なくとも日本では難しく、またとても傲慢なことだと感じます
変わらないスタイルを追求して、長く着用して欲しい気持ちは同じなのですが、現在お客様に気に入っていただけなければしょうがないし、やんわりとお客様と相談した上でトレンドにどのようなラインを引いたら少しでも長く着用してもらえるのか、クラシックなスタイルにどれだけトレンドを意識出来るのか、その配分やセンス、バランス感覚が裁断師に求められているのだと感じています
テーラー新屋は正統派のスタイルが好きですが、トレンドのスタイルもしっかり理解した上でお客様の欲しいスタイルをご提案していきたいと思っています