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ダッフルコートの歴史とディテール

静岡県のテーラー新屋のダイスケです 


昨年はチェスターコートが流行りましたね

そんな中、冬の定番として依然として根強い人気のダッフルコート

先日、お客様からダッフルコートの注文をいただきましたので、今回はダッフルコートについて書いてみようと思います



ダッフルコートのその名の由来は、ベルギーのダッフル(duffel)という町で最初に織られた厚地の玉羅紗地から採用されています 

この生地は今では見ることが出来ないので詳しいことはわかりませんが、18世紀に英国の商人の手に寄って大量にアメリカに輸出されていた物だそうです 

一言で言えば、毛布に近いウールのオーバー地で防寒に加えて防水性もあり、当時さまざまな用途に使われ、特に開拓時代のアメリカで喜ばれたようです


この優秀な生地が北へと伝えられ、北欧の漁師達の手によって用いられた結果、ダッフルコートが作り上げられました

寒風の吹き荒ぶなかで作業するのになによりもこの生地は適当だったでしょうし、彼等がその辺に転がっている「浮き」と漁網用のロープを使って考えたものだろうと、容易に想像がつきます 


ピーコートやトレンチコートのように、打合せを左右どちらにも合わせられる特徴を持ち、フードもついたダッフルコートは、第二次世界大戦中にはイギリス海軍の北海警備において「ネパールダッフル」と呼ばれ、ユニホームとしても採用されました(ネパールダッフルの色はネイビーかキャメルだそうです) 



歴史はこれくらいにして、デザイン上の特徴について書いてみたいと思います 


生地の多くはブランケット地を使用しています

本来は、その名の通りダッフルという生地を用いればよいのですが、現在ではそれが作られていないので、いろいろな文献からも想像するのに、ブランケットに近いように思われますし、実際の商品にもこれが多く使われています 


素材はウール以外にも、カシミアやキャメルといった高級獣毛の入ったものやシャギー調の毛羽立たせたもの、メルトンなどとも相性が良く、タータンツィードの裏地をつけるならばフラノ、中綿を入れるならば、コットンや合繊も良いと思います 


最初に目が行く特徴のあるディテールは、先に述べたトッグル(浮き)ボタンです

本来は、浮きですので当然木製ですが、その後街で着られるようになって以降、ツノ製が多く使われるようになっていきました 

いずれにしても、ヒモによって取り付けられ、『木製にはロープ』が、『ツノ製には重さの関係で厚い皮革製のヒモ』が使われることが多いようです 

取り付け方にも特徴があり、ほつれる関係からロープを使用の時は″タマゴパッチ″と呼ばれる硬めの皮革を卵形にカットしたパッチで縫い付けられ、 革ヒモを使用する場合は、ほつれる心配がないので、端を平行に揃えて、ステッチで縫い付けられています


次の特徴はフードですが、これは直接襟に取り付けるタイプと、襟が付いたうえで、取り外しが出来るようになったものがあります 

フードの大きさや深さなどもデザインによって様々です


第三の特徴は肩当てです

トレンチコートもそうですが、外で作業をするのに、いちいち傘などをさせませんから、雨が染み込み難いように2重にしたものを多く見かけます 


その他の特徴として

袖が、セミラグラン型になっているのは、肩先を丸くするためか、生地の都合だろうと思われます 

ポケットはダッフルコートの多くが1重仕立ての関係で、アウトポケットが多いようです 

スリットまたはベントは、丈によって長ければ開けるし、短ければ開けないでも良いと思います



以上、後半は駆け足になりましたが、ダッフルコートについて長々と書いてみました



静岡県のテーラー新屋は、カシミア素材を使ったロング丈のダッフルコートなどは、学生では似合わない、「大人な」ダッフルコートに仕上がるのではないかと思います



明治・大正・昭和の軍装の変遷

静岡県のテーラー新屋のダイスケです


今年は戦後70年の年です
テレビなどでも様々な特集が組まれています


そこで、今回はテーラーの視点から、昔の資料を引っ張り出して、明治・大正・昭和の軍装コレクションをご紹介したいと思います

 

デザインや金モールの使い方など、それぞれ特徴的だと感じます

 

 

まずは、勅任官大礼服(明治6年制定・大正期制作)

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続いて、宮内庁式部官大礼服(明治6年制定・大正期制作)

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次は海軍中将正装(明治19年改正型)

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陸軍大将正装(明治8年制定)

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陸軍砲兵少佐正装(大正期制作)

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陸軍大将軍服(日清・日露戦争当時着用)

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陸軍大将正装(昭和期制作・参謀総長・日本最後の軍服)

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有爵者大礼服(明治期制作 ・男爵用)

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陸軍中将正装(明治19年改正型)

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最後に陸軍御親兵曹長軍服(明治4年制定・5年より近衛兵と改称)

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※戦争時の衣装ですのでデリケートなことかもしれません

問題があれば削除しますので、その際はご連絡ください

 

 

追記 4月24日 軍服の仕立てについてブログを更新しました → こちら

 

 

静岡県のテーラー新屋は平和を愛しています


あなたのその服 Made in UK? Made in England?

静岡県のテーラー新屋のダイスケです

明けましておめでとうございます、正月ということで、のんびり過ごしてます

 

昨年を振り返えった時、様々なニュースありましたが、その中で、スコットランド独立住民投票は、アパレル業界の私にとっても興味深いものでした

そのことを思い出したので、今回は「英国製」について書きたいと思います

 

 

生地でも服でもアクセサリーでも「英国製」という場合、およそ次のような6つの表し方があるのはご存知でしょうか?

それぞれで意味も多少違ってくることを覚えておくと何かの際に役に立つかも!?

 

① Made in Great Britain

② Made in England

③ Made in Scotland

④ Made in Wales

⑤ Made in UK

⑥ Made in Ireland

 

 

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さて、①はイングランドはもとより、スコットランド、ウェールズの製品も含みます

 

②はイングランド製品のみを表しています

 

③はスコットランドの製品を

④はウェールズの製品

は北アイルランドの製品を表してます

 

⑥はアイルランドの製品ですが、もっとも、アイルランドは「英国」ではありませんが、「元英国」であり、現在のも「英国と関係深い国」という意味で「(準)英国」と呼んでも誤りではないということで…

※アイルランド人は、そう思われていることに抵抗を感じていますので、ご注意をっ!! 

 

 

例えば、ドルゴール・ツィードや黒ビールのギネスなどは、日本では一般的に「英国製」と呼ばれるものの、その実 Made in Ireland ですね

 

なお、「英国」の正式国名は「グレートブリテンおよび…」ですが、英語で表すとThe United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland となります

 

イギリス製品を見たときに、ふと思い出すと面白いかもしれませんね

 

 

静岡県のテーラー新屋は英国製の生地も取り揃えています

 

 

 


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